退職に伴い、後任者に対して引き継ぎを行うことは、法律上必須ではない。しかし、法律で必須ではないとはいえ、引き継ぎ作業を放棄するのは望ましくないだろう。病気の影響で出社できないなどのやむを得ない事情があれば仕方がないが、そうでないのであれば、円満退職のためしっかりと引き継ぎの作業を終えておきたいところだ。
まずは、今抱えている仕事の量や、残っている有給休暇と相談した上で、最終出社日を決めるところから始めるといいだろう。急な仕事が入ってくる可能性もあるので、遅くとも最終出社日の3日前くらいには抱えている仕事を全て終わらせられるよう、余裕を持って作業を進めることが大切である。そして、仕事と並行して行うのが引き継ぎ資料の作成で、後任者がスムーズに業務に入れるよう、業務で気をつけたいポイントや手順、不測の事態が起こった場合の対応などのマニュアルを作成することが欠かせない。
現在の業務に顧客、得意先などが関わってこない場合はともかく、他社との付き合いが業務に密接に関係してくる場合は、顧客や得意先などの情報も引き継ぎ資料に記さなくてはならない。取引先の企業や担当者の名前などの基本情報はもちろんのこと、それに加えて、できるなら担当者の性格や好みなどの詳細な情報も記しておきたいところである。営業職など、担当者との関係が業務に大きな影響を与える場合、担当者の詳細な情報があるかないかで、後任の仕事のやりやすさは大きく変わってくる。